Cayley–Hamilton theorem

行列Aの随伴行列A^{*}とは、余因子行列Cの転置行列のことである。

 余因子行列の(i,j)成分は、行列A(i,j)行列式M_{ij}によって定義され、(-1)^{i+j} M_{ij}である。小行列式M_{ij}は、行列Ai行とj列を削除することによって得られる行列の行列式である。

随伴行列について、AA^{*}=A^{*}A=det(A)I_nが成り立つ。

 det(tI_n-A)=p(t)とおく。これを固有多項式と呼ぶ。

A(t)=tI_n-Aとおくと、A(t)A(t)^{*}=A(t)^{*}A(t)=p(t)I_nが成り立つ。

ここで、行列を係数とする多項式\Sigma A_k t^kを考える。係数の行列A_kn×nの正方行列とする。

行列係数の多項式f(t)=\Sigma A_k t^kn×nの正方行列Mについて、f(M)=\Sigma A_k M^kと定める。行列の掛け算については、一般に交換法則が成立しないので、この定義はtの位置に依存する。

行列係数の多項式f(t)=\Sigma A_k t^kg(t)=\Sigma B_k t^kについて、f(t)g(t)t=Mを代入した式とf(M)g(M)が一致するためには、任意のB_kMが可換であれば十分である。

そこで、A(t)^{*}=B(t)とおく。

B(t)の各成分はt不定元とする多項式であるので、t^kの係数だけを残した行列をB_kとおくと、B(t)=\Sigma B_k t^kが成り立つ。

 A(t)B(t)=B(t)A(t)より、 (tI_n-A)B(t)=B(t)(tI_n-A)となるので、AB(t)は可換である。これは、A(t)B(t)t=Aを代入した式とA(A)B(A)が一致することを意味している。A(t)B(t)=p(t)I_nだから、A(A)B(A)=p(A)が成り立つ。

A(A)=0なので、p(A)=0が成り立つ。

ここでp(A)とは、多項式p(t)に対して、行列At=Aにより代入して得られる行列を意味する。