Cayley–Hamilton theorem
行列の随伴行列とは、余因子行列の転置行列のことである。
余因子行列の成分は、行列の小行列式によって定義され、である。小行列式は、行列の行と列を削除することによって得られる行列の行列式である。
随伴行列について、detが成り立つ。
detとおく。これを固有多項式と呼ぶ。
とおくと、が成り立つ。
ここで、行列を係数とする多項式を考える。係数の行列はの正方行列とする。
行列係数の多項式との正方行列について、と定める。行列の掛け算については、一般に交換法則が成立しないので、この定義はの位置に依存する。
行列係数の多項式とについて、にを代入した式とが一致するためには、任意のとが可換であれば十分である。
そこで、とおく。
の各成分はを不定元とする多項式であるので、の係数だけを残した行列をとおくと、が成り立つ。
より、 となるので、とは可換である。これは、にを代入した式とが一致することを意味している。だから、が成り立つ。
なので、が成り立つ。
ここでとは、多項式に対して、行列をにより代入して得られる行列を意味する。